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4.1弾性変形
力を加えて曲げたり捩ったりするとき、力を外せば元に戻る場合を、弾性変形という。
加える力を更に増すと、力を取除いても元に戻らず、曲りや振れの形状が残るようになるこの残った形状を塑性変形という。
船体曲面がなだらかで、外板を曲げ加工しないまま組立工程に送り、板継支持治具の上で板の自重と僅かの人力で所要空間形状に馴染ませることができる場合があるこの外板の状態を「自然撓み」という。同じように肋骨の形材部品で、曲げ加工省略の「自然撓み」もあり、捩れだけを組立工程で与える「自然捩れ」もある。
自然撓み捩れは曲げ工程を省略できるので、これに伴う横持ち(移動)も不要になり得策であるこの範囲は部材全体の曲り量や捩れ量から削るのではなく、部材の中の最も曲り・振れの大きい部分で判断するいくらか過不足はあってもよいから、加工・組立の両工程と事前協議し、大胆に決めてゆく。
数値現図システムにおいては、判定式を内蔵し、自重と人間の体重程度の加圧で計算を行う自動判定機能を有するものがある。
自然撓み振れは、弾性変形の中にあり、理論的に求まる。
曲りのとき、圧縮量と伸長量はバランスするから、例えば矩形材の場合(図2.4.6)、中心位置となる山形材などでは、断面二次モーメント中心であり、形材表に数値が示されている。

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図2.4.6

4.2 塑性変形
曲げ加工のとき、中性軸の位置は加工法により変る加熱収縮による加工では、「伸び」は起こらず、収縮力の反動として「伸び」が起こったとしても僅かで、無視できる中性軸とは曲げ加工の前後で長さの変らない位置であるから、焼かない部分にあることになる山形材に楔状の焼込みで収縮を生じさせて、反りを与えるとき(図2.4.7)、中性軸は加熱しない辺縁である。

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図2.4.7

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